2020.05.27

末梢神経障害対処のコミュニケーションスキルとピットフォール
患者に誤解・不安を与えない話し方 - 例1.「症状」の説明 -

監修
医療法人住友別子病院 薬剤部
矢野 琢也先生
副作用
適用なし
頻発抗がん剤
適用なし

患者に誤解・不安を与えない話し方

例1. 「症状」の説明

患者背景
  • 70代男性
  • 再発転移胃がん
  • weekly PTX療法施行中(1コース目) 延命目的
  • 家族と同居
  • 非就労者

「しびれ」が出る可能性があるので、
症状が出たら教えてください。

「足がしびれるような感覚」が出たら
伝えればいいのかな。

問題点

言葉の定義が異なる。
末梢神経障害の「しびれ」は様々な感覚で現れるが、患者さんがイメージする身近な「しびれ=足のしびれ」であり、正しいイメージが伝わっていない。

エキスパートの話し方と解説

手の指先や足の裏に「ピリピリ」「ジンジン」「ヒリヒリ」などの感覚が出たり、何か日常生活の中で違和感があるようなことが起こるかもしれないので、気になることがあれば教えてください。

解説

  • 医療者の「しびれ」のイメージがそのまま患者さんに伝わっているとは限りません。具体的なイメージを患者さんと共有できるようにしましょう。
  • 日常生活動作で例えた説明をすることも良いでしょう。
    (例)本のページがめくりにくい、ボタンがはめにくい、文字が書きづらい、散歩すると足の裏がそわそわする
    ただし、それぞれの患者さんの趣味や習慣、服装を踏まえた例でなければ伝わりにくいことにも注意しましょう。
  • 患者さんによって末梢神経障害の発現の仕方は様々です。医療者も一律なイメージをもたないようにしましょう。
    (例)手にのみ発現、足にのみ発現、手の指先から掌に広がるように発現

こんなピットフォールに注意

以前に副作用として末梢神経障害を経験している患者さん
すでに症状はご存知かもしませんが、薬の種類や治療法によっても発現の仕方は異なります。以前どのような感覚があったかを言葉で表現してもらい、改めて症状の確認ができるようにしましょう。
また、大変な思いをした患者さんは不安を強く感じているかもしれません。どのような困りごとがあったかなども確認し、サポートを心掛けましょう。