Overview 大阪・関西万博 / 開催概要
- 名称
- 2025年日本国際博覧会
(略称:大阪・関西万博) - 期間
- 2025年04月13日〜10月13日
- テーマ
- いのち輝く未来社会のデザイン
Designing Future Society for Our Lives - サブテーマ
- Saving Lives(いのちを救う)/
Empowering Lives
(いのちに力を与える)/
Connecting Lives(いのちをつなぐ) - 場所
- 大阪 夢洲(ゆめしま)
Pavilion 協賛するパビリオンについて
SDGsで注目されているウェルビーイングの先を見据え、多様性を尊重しながら、つながりあって、いのちを響き合わせる――。
大阪・関西万博のテーマ事業「シグネチャープロジェクト」の一つである、宮田裕章氏プロデュースのパビリオン「Better Co-Being」と、東和薬品の企業理念の中にある「こころの笑顔を大切にします」というメッセージには、思い描く未来社会のビジョンに重なる部分があります。調和し、人のつながりを広げ、生きることを輝かせる。さまざまなテクノロジーを健康のために活用し、人々の健康や未来を思い描く「Better Co-Being」パビリオンにブロンズパートナーとして東和薬品は協賛しています。
- 慶應義塾大学医学部 教授
- 宮田 裕章 Miyata Hiroaki
1978年生まれ。
慶應義塾大学医学部 医療政策管理学教室 教授
専門はデータサイエンス、科学方法論、
Value Co-Creation
データサイエンスなどの科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行う。専門医制度と連携し5000病院が参加するNational Clinical Database、LINEと厚労省の新型コロナ全国調査など、医学領域以外も含む様々な実践に取り組むと同時に、経団連や世界経済フォーラムと連携して新しい社会ビジョンを描く。
Conversation スペシャル対談
2025年大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマで開催されます。東和薬品として「こころの笑顔」や「健康で社会から必要とされる会社でありたい」という目標を掲げている中で、地元大阪での開催ということもあり万博開催決定当初から参画を検討してきました。近年、PHR(パーソナルヘルスレコード)を蓄積し分析することで、病気の治療や予防に役立てる様々な取り組みが試されてきています。「Better Co-Being」パビリオンは、宮田先生がデータ駆動型社会やウェルビーイングの先を見通す研究をされていることもあり、見ている未来の方向性に共感し協賛を決定しました。
そこでスペシャル対談として「Better Co-Being よりよく生きるとは何か?」と題し、協賛を決めた経緯や、「Better Co-Being 共鳴イベント 未来と健康のための高校生ビジネスコンテスト supported by 東和薬品」に寄せる思い、さらにそれぞれの視点から見つめるヘルスケアの明日について語っています。ぜひご覧ください。
「よりよく生きるとは何か?」特別対談
Ver.1.0 「大阪・関西万博シグネチャーパビリオンBetter Co-Being」
東和薬品が「Better Co-Being」パビリオンに協賛を決めた背景や理由、パビリオンのイベントとして開催される未来健康ビジコンについて。
壁も屋根もないパビリオンで表現し未来に伝えたいこと
宮田教授
ありがとうございます、光栄です。たしかに、御社の企業理念にもつながるようなテーマかもしれませんね。「Co-Being」は、多様ないのちが響きあいながら、つながりの中で共に生きることを意味します。Co-Beingに「未来に向かう」という意味の「Better」を組み合わせた「Better Co-Being」というコンセプトをパビリオンの名称として採用しました。
パビリオンでは、つながりの中で共に生きる私たちが、人と人、人と自然、人と世界――。
一人一人が生きる豊かさを調和させながら未来を目指していく場になると考えます。
荒廃林で枯れていく運命にある木々を集めて再生する森をパビリオンの中心に作りました。
吉田
森を中心に、天井も壁もないパビリオンとお聞きして、ユニークなパビリオンだという印象を受けました。
宮田教授
正確に調べているわけではないのですがメインのテーマ事業で壁も天井もないというものは前代未聞だったみたいです。
建築物っていうと、本来は機能的な要件が重要で風雨から人々を守る。あるいは概念として公と私を分けるとか、権力の象徴として人々を畏怖させるような役割を持つことが少なからずあります。ですが、今回はそうじゃなくてむしろ人と人、人と社会、「Better Co-Being」というものを体現していく時に壁はいらないのではないか?もしかしたら天井もいらないのでは?と突き詰めていくうちに、こういう建物になりました。
吉田
テクノロジーも空間を作り上げるための重要な要素になるイメージでしょうか。
宮田教授
はい。テクノロジーを駆使していますので、データを活用することによって来場者の個々の体験をバックアップできればと考えています。
パビリオンのイベントとして開催される「未来健康ビジコン」
吉田
2020年から当社が中心となって開催している高校生未来健康ビジネスコンテスト、通称「未来健康ビジコン」は、高校生に将来の日本というものを考えてもらうきっかけにしてほしいと願ってスタートしました。将来の日本を豊かな国にしようという志を持ってもらえたらとアイデアを募集しているのですが、2024年はAIを活用した医療アプリから、地域の高齢者の方に手紙を届けるサービスまで幅広い内容の応募がありました。
今回は、「Better Co-Being 共鳴イベント『未来と健康のための高校生ビジネスコンテスト』supported by 東和薬品」としてご採用いただきありがとうございます。
宮田教授
私も2023年に参加させていただきました。彼らのエネルギーとそういった発想がどう未来につながるか?というのは本当に日本だけでなく、世界にとってもすごく大事なことなのだと改めて感じました。
まさに万博の本質の一つですよね。社会全体が大きく変化をしていく中で、自ら未来への問いを立てて、新しく想像すらしなかったことに取り組む。
それがこの関西・大阪万博という舞台で一層に盛り上がり、高校生から未来を明るくするようなアイデアが集まればと思います。
「よりよく生きるとは何か?」特別対談
Ver.2.0「未来の医療とお薬のかたち」
データサイエンスを活用した未来の医療や寄り添うお薬のかたち、東和薬品が目指す製薬企業としてのあり方と「薬のいらない社会」にこめられた思い。
データサイエンスが健康を変えていく
吉田
データサイエンスの活用が進むと医療はどう変わっていくのかというのは、当社でも注目しています。宮田教授の専門分野でもありますが、どういう将来を思い描いてらっしゃいますか?
宮田教授
1つ目は、医療そのものが加速していく部分があると考えます。例えば、コロナワクチンの開発ではデータを独占利用するのではなく、開発当事者同士で共有することにより、これまでの社会では成しえなかったスピードで開発できました。
2つ目は、これまではおおむね世界全体平均でどれぐらい効くのかというデータに基づいた治療が提供されていましたが、遺伝子情報や生活情報と紐づけた、詳細な形で個別医療の提案が可能になってくると考えます。
吉田
データ分析の結果、個人別に最適な治療方法やタイミングが分かるということでしょうか?
宮田教授
その通りです。3つ目は、ウェアラブル端末やIoTを活用してリアルタイムでデータが取れるようになれば、病気が進行してから治療するのではなく、もっと早い段階で治療や予防の対応が可能になってくると考えます。
吉田
医療費がどんどん増えて行っている中で、データを活用して最適な治療や対応が何かという提案ができるということですね。
宮田教授
おっしゃる通りです。その中にジェネリック医薬品も効果が同じであれば、社会にとって何が大切かということ照らし合わせて選択する判断もできると思います。
データを活用したお薬の未来
吉田
新薬メーカーは薬効の研究開発に重点を置いて活動しています。これも社会にとって重要なことで、ジェネリック医薬品は新薬の特許満了後に発売されます。
どんなに素晴らしい薬でも、決められたとおりに服薬しなければ効きませんので、当社では、特に「飲みやすく 扱いやすい」技術の開発に力を入れています。例えば、水なしでも口の中で溶けて飲みやすい口腔内崩壊錠(OD錠)、苦みのマスキング、錠剤の小型化。
その他に、服用薬を貼付薬に剤型変更したり、安定性を高めて有効期間の延長を検討するなど挑戦しており、この技術というのは非常に難しくて奥が深いです。それをデータベースで解明できないかというのを研究もしている最中です。
宮田教授
寄り添う薬のあり方というのはこれから変化していくでしょうし、色々な工夫で薬を変えられるということですよね。
同じ薬でもビックデータを分析することで、病気がひどくなる前に服薬すると効果が上がるとか、あるいは既存薬に新たな疾患の治療薬として効果を見出すドラッグリポジショニングみたいなことが可能になるかもしれませんね。
吉田
実は、当社もドラッグリポジショニングを研究中です。
宮田教授
ああそうですか!素晴らしいですね。
お薬が必要ない社会をめざすとは?
宮田教授
以前社長が「薬のいらない社会」ということを話されていましたが、製薬企業として大胆なステートメントだなと驚きました。
吉田
「薬のいらない社会」というのは究極そういう風になればいいということです。人々の健康を維持するのであれば、薬が無くてもそれはそれで良いと思います。
宮田教授
問題を解決するための手段としての薬もあるけれども、もっと手前から未病の状態から悪化しないようにする。あるいはそうならないように健康維持の支えをする。薬がなくとも健康でいられるという状況も含めてより良い社会に貢献するんだという志ですよね?素晴らしい。
吉田
例えば水が無くても服薬できるOD錠であれば、清潔な水が手に入りにくい地域や場所でも役立ちます。保存が今までよりも長い期間できる薬があれば、廃棄ロスを少なくできますよね。ジェネリック医薬品を作る製薬会社としてのコアビジネスも大切にしていきたいと思っています。
さらに、未病の段階で何か貢献できることは無いのか?あるいは、健康な方の健康維持について役立つことはできないか?など、健康にまつわるすべてのことを視野にいれてビジネスを考えていきたいと考えています。
「よりよく生きるとは何か?」特別対談
Ver.3.0「よりよく生きる」ために
「Better Co-Being」と共鳴する究極の思い「こころの笑顔」、未来に向けて皆が共によりよく生きるためのヒントとは。
人と未来がどうつながるのか
吉田
宮田教授のおっしゃっている「Better Co-Being」という考え方について具体的に教えていただいてもよろしいですか?
宮田教授
この概念というのはサスティナビリティーとウェルビーイング、この二つの調和の中で共に未来を見ていこうという考え方です。
SDGsが社会に浸透していく中で、サスティナビリティーという考え方が世の中に広く知られるところとなりました。一方で、ウェルビーイングはまだ弱いと感じています。
例えば、餓死しないために食料を支援するより、生きがいを持って働くことを支援した方がはるかに効果的だったと言う結果があります。同じ「生きる」という目標においても、「その人がその人らしく生きる」というウェルビーイングを視野に入れることが大切です。
これはまさに大阪・関西万博のテーマである「いのちの輝き」につながると言えます。
いのちの灯火を消さないというところから、いのちの輝きを見た上で、人と人、人と社会、人と未来がどうつながっていくのか、「Better」には、未来を見るという部分もあり、どういう未来をともに実現したいのかというところを見ながら一歩踏み出していくというイメージで「Better Co-Being」をパビリオンのテーマにしました。
吉田
共によりよく生きていくということを目指すと。
宮田教授
はい。「共により良い明日を目指して。」そういう意味ではまさに「Better Co-Being」と御社が理念に掲げられている「こころの笑顔」は、すごく通じるものを感じさせていただいます。
こころの笑顔と共鳴する未来
吉田
当社では「こころの笑顔」とは、身体がすこやかで、心が満ち足りた状態でいられることにより、心底から湧き上がる喜びが笑顔としてあふれてくる様子。と定義しています。
自分のことだけでなく、会社も家族ももちろんですが、日本や世界に視野を広げれば心配なこともたくさん起こっていますので、なかなかこころの笑顔は出てきません。
難しいことだと感じていますが、周りの皆さんがこころの笑顔になれば、それが自分のこころの笑顔につながります。
宮田教授
難しいですね。「Co-Being」の中での笑顔ってことですね、共に。
吉田
そうです。究極の思いとして「こころの笑顔」ということを理念に掲げ、それを目指すために今やれることを考えないといけないと。戦争などで人権が無視されていたり、心身が不調でしたらこころの笑顔って成立しません。
いろんなことが世界中で起こっていますが、「Better Co-Being」な環境で生活する手助けとして、人々の健康に貢献することを企業でありたい考えています。
宮田教授
素晴らしいですね。
社長がこころの笑顔の実現は難しいとおっしゃっていましたが、こころの笑顔に近づいたって感じられる瞬間はどんなときですか?
吉田
私自身、実は囲碁がものすごく好きで、プロの先生に教えていただいているのですが、この前 先生に勝ちまして。その一瞬、盤面に集中し、勝ったその一瞬。1秒か2秒くらいですが。
宮田教授
おお すごいですね!でもそれが 1秒か2秒というのも非常に慎ましいですよね。
吉田
そういう一瞬一瞬を少しずつ伸ばしていければいいなと思っています。健康状態が悪かったり、何か心配事があったりすると、勝っても嬉しいとは思えないものです。そこに集中できる瞬間をつかんだり、環境を整えたりすることが重要です。沢山の方々にそういう瞬間を体験していただきたいなと考えています。
宮田教授
私自身がすごくやりがいを感じる瞬間というのはこころの笑顔を感じる人たちの輪が広がった時かなとお聞きしながら考えていました。まさに今回もパビリオンですよね。こういった体験が嬉しい。
ビジコンも含めてその活動を通じてこの未来に繋がる体験でありこころの笑顔が広がった瞬間というのが一番良かったなと思うところなので皆さんと一緒にそういう瞬間を作ることができればと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
吉田
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
吉田
パビリオンに協賛を決めたのは、宮田教授が提唱されている「Better Co-Being」の世界観・考え方に共感したというところがあります。当社の企業理念「私達は人々の健康に貢献します 私達はこころの笑顔を大切にします」に非常に近しいものを感じました。