肺がん
2022.10.07

シスプラチン+ゲムシタビン療法Basic編

監修
中部労災病院 薬剤部 主任
山口 智江先生
適応
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
投与の詳細
  • 1コース21日間(4~6コース実施)
シスプラチン+ゲムシタビン療法

本レジメンについて

  • ドライバー遺伝子変異/転座陰性、PD-L1 TPS 50%未満、もしくは不明のPS 0-1、75歳未満に対する一次治療において推奨されているプラチナ製剤+第三世代以降の細胞傷害性抗癌薬併用療法の1つである。
  • 4種類の併用療法(プラチナ製剤+第三世代細胞傷害性抗癌薬)を比較したFACS試験1)において、主要評価項目である1年生存率はシスプラチン+イリノテカン群(対照群)59.2%、カルボプラチン+パクリタキセル群51.0%(対照群との差-8.2%、95%信頼区間-19.6%-3.3%)、シスプラチン+ゲムシタビン群59.6%(対照群との差0.4%、95%信頼区間-10.9%-11.7%)、シスプラチン+ビノレルビン群48.3%(対照群との差-10.9%、95%信頼区間-22.3%-0.5%)であり、いずれの治療効果も同等であった(非劣性マージン-10%)。
  1. Ohe Y, et al.: Ann Oncol. 2007; 18(2): 317-23.

副作用の特徴

  • 高度催吐性リスクに分類されるため、日本癌治療学会 「制吐薬適正使用ガイドライン」等に準じて、適切な制吐療法を実施する。
  • シスプラチン投与時は、腎毒性を回避する目的で、ハイドレーション(3L/日以上1)の大量輸液+強制利尿剤±マグネシウム製剤)を行う。シスプラチンのハイドレーションは、最近では、全身状態と腎機能や心機能が保持されている、かつ飲水指示に対して十分な理解力があることなどを条件に、補液量を少なくし、経口補水を活用するショート・ハイドレーションレジメン2)が行われている。
  • シスプラチンによる聴覚障害は不可逆的な場合も少なくないため、早期発見に努める。
  • ゲムシタビンでは発熱や発疹が生じることがある。
  1. 日本腎臓学会, 他編.: がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2016. ライフサイエンス出版. 2016.
  2. 日本肺癌学会, 日本臨床腫瘍学会.: シスプラチン投与におけるショートハイドレーション法の手引き. 2015.
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】