Interview インタビュー

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Project Leader (Chemist)
内川 治
Osamu UCHIKAWA, Ph.D.

医薬品全体に潜む
構造的リスクの解決を目指す

化学者としての
直感と
責任感に導かれて

東和薬品に籍を置いてほどなく 「発がん性が疑われるニトロソジメチルアミン(NDMA)が降圧剤に混入の恐れあり」 という欧州医薬品庁(EMA)からの報せを目にした際に、「ニトロソアミン類の混入は、特定の薬剤にとどまらず、数多くの医薬品に波及しかねない」 と直感しました。ごく微量ゆえ直ちに健康被害を生じるわけではありませんが、「人々の健康を脅かすかも知れない医薬品を、漫然と提供し続ける」 ことは到底看過できませんでした。

ニトロソアミン問題は
人々の健康に直結する

ジェネリック医薬品メーカーは、数多くの薬剤を世の中に提供しています。従って 「ニトロソアミン類混入の懸念にさらされる薬剤が桁違いに多い」 とも言えます。「ニトロソアミン類の混入対策を講じることは、人々の健康に直結する」 と確信して、近藤(分析研究者)との二人三脚で原因究明に着手しました。やがて仲間が増え、最新の分析機器を揃え、製造部門との連携体制を整備できたのは吉田社長のご英断の賜物です。

原因に気づいたからには
自らの手で解決したい

2019年に国からの指示を受け、山形工場、大阪工場で製造されたメトホルミン製剤を詳細に分析したところ、大阪工場製造品のみで管理指標(0.043ppm)を超えるNDMAの混入が明らかになり即刻回収しました(該当品は出荷全体の1.9%)。この一件が、「製造場所の違い ⇒ 空気中の窒素酸化物(NOx)がニトロソ化の一因」 という気づきと原因究明に繋がりました。各種検証実験を行って確証を得た上で、NOxがニトロソ化の一因とする論文を米国化学会の学術誌『OPR&D』に投稿、2023年11月号に掲載されました(ダウンロード数は2万件超)。

投稿直後、吉田社長から 「解決策を講じないのは内川さんらしくない」 と背中を押され、探求心に火が付きました。「一捻りするだけならば周りの誰かが気づく。二捻りしても世界の誰かが気づく。三捻りすれば誰も気づかない」を信条に、毎日試行錯誤を重ねながら数多くのデータを目の前に広げてひたすら考え抜いた結果、ようやく斬新な解決策を手にしました。

世界の人々の健康を
守る
東和薬品の挑戦

サイエンスには、自ら考え、自ら検証し、自ら結果を手にする醍醐味があります。「病で苦しむ患者さんや家族を笑顔にする、安心、安全な薬を一刻も早く届けたい」 という同じ志を持つ数多くの仲間たちが、日々二足の草鞋を履きながら本プロジェクトに参画してくれたことを誇りに思います。知り得た数多くの発見や事実を国内外の製薬企業に情報発信して、「世界中の人々が、何時でも、何処でも、安心、安全な薬剤を入手できること」 が私たちのゴールです。ジェネリック医薬品メーカーとしての使命と責務を全うするために、東和薬品は怯むことなく挑戦し続けます。

(2025年6月取材)

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