Interview インタビュー
常識を超え、
未来を創る
NOx Think Tank への想い
砂漠で砂粒を探すような
挑戦の始まり
私がNOx Think Tank プロジェクトに携わって2ヶ月が経ちますが、これは本当に前例のない挑戦だと感じています。PPBオーダーの世界は、例えるなら砂漠の中で1粒の色の違う砂を見つけるようなもので、今まで常識だと思っていたことが全く通用しない領域です。実験段階では段ボール製のダクトで簡易的に作成した実験系でしたが、しっかりとデータが取れるのか、長時間の稼働に耐えられるのか不安でした。そのため、毎朝出社時には実験機の稼働状況を確認し、写真を撮ってチームと共有しながら、変化がないことを祈りつつ細かくチェックしていました。
解けない謎はない
現場に根差す私の信条
私のエンジニアリングの根幹にあるのは「5ゲン主義」です。現場・現物・現実、そして原理・原則をしっかりと押さえることで、解けない謎はない、解決できないことはないという信念を持っています。特に「現場が全て」という考えのもと、現場に行くことで自分の想定と異なる状況を発見し、常に「自分が知っていることが全てではない」という認識を新たにするようにしています。生産現場はいわば生き物のようなもので、同じ事象でも原因が異なる場合があるため、固定観念があると真の原因にたどり着けません。だからこそ、なぜそうなるのかを「なぜ? なぜ? なぜ?」と繰り返し考え、ゼロベースで思考することが重要です。
多様な知見を結集して
困難な壁を乗り越える
このプロジェクトが最も大切にしているのは、お互いが気付かないことに気付きあえる素晴らしいチームワークです。研究者との密な連携により、研究者が工夫した点を深く掘り下げ、実機生産に必要なことを確認しながら進めています。また、前例のない試みだからこそ、異分野のエンジニアとのコミュニケーションを通じて、異なる視点や参考になる考え方を取り入れることも重視しています。お互いがしっかりと相手の知識や経験を思い遣って仕事を進め、何でも率直に言える雰囲気を作り出すことが大事です。また、関係者の熱意とアグレッシブなチャレンジ精神や探求心、好奇心がプロジェクトを前進させるエンジンとなっています。
技術をつなぎ、人を育て、
未来を拓くハブとなる
NOx Think Tank プロジェクトは全く未知の地を開拓し、そこに新しいものを作っていく、すごくワクワクする取り組みです。人々の健康のために貢献するというベースをしっかりと守りつつ、「東和薬品 NOx Think Tankチームここにあり」という意気込みを世の中に示したいと考えています。フィルター実装は一つの手段でしかなく、常に新しい技術をウォッチし、より良い解決策を模索し続けています。私の目標は、東和薬品が持つ分析技術と製造・開発のプロセスを活かし、各部門や異なる専門性を持つ唯一無二の人財をつなぐハブとなることです。若い世代に知識と経験を継承し、挑戦的なマインドを持つ人財を育てながら、多様な人財が集まる魅力的なプロジェクトの実現を目指していきたいと思っています。
(2025年6月取材)

構造的リスクの解決目指す