2023.11.01
Pola-BR療法Basic編
(PDF版ではレイアウトが異なりますが、同じ内容です。)
- 適応
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- 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
- 投与の詳細
-
- 1コース21日間(最大6コース)
- ※1:
- 初回投与時は90分かけて投与し、忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
- ※2:
- [初回投与]最初の30分は50mg/時で開始し、忍容性が良好であれば、その後30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。
[2回目以降]①初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合は、100mg/時で開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。
②臨床的に重篤な心疾患がなく、初回投与時に発現した副作用が軽微であり、かつ投与前の末梢血リンパ球数が5,000/μL未満である場合、90分間で投与(最初の30分で投与量の20%を投与し、その後60分で投与量の80%を投与)することができる。 - ※3:
- 国内外の臨床試験では、1サイクル目のみポラツズマブ ベドチンは2日目、ベンダムスチンは2-3日目に投与されている。


注)GradeはNCI-CTCAE v4.03に準じる
本レジメンについて
- 自家造血幹細胞移植(ASCT)が適応にならない再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対して選択肢となる治療法の1つである。
- 再発・再燃 DLBCL患者 を対象にベンダムスチン+リツキシマブ(BR)療法にポラツズマブ ベドチンを併用すること(Pola-BR療法)の有用性を検討した海外第Ib/Ⅱ相試験1)において、主要評価項目である完全奏効率はBR療法群17.5%、Pola-BR療法群40.0%、副次評価項目である無増悪生存期間中央値はそれぞれ3.7カ月、9.5カ月と報告されている。また、Pola-BR療法群の27ヵ月追加追跡における無増悪生存期間中央値はそれぞれ3.7ヵ月、9.2ヵ月(ハザード比 0.39、95%信頼区間 0.23-0.66、p<0.0003、Cox回帰分析)、全生存期間中央値は4.7ヵ月、12.4ヵ月(ハザード比 0.42、95%信頼区間 0.24-0.72、p=0.001、Cox回帰分析)と報告されている。
- 再発・再燃 DLBCL患者を対象にPola-BR療法を施行した国内第Ⅱ相試験(P-DRIVE試験)2)において、主要評価項目であるCRR は34.3%、副次評価項目である無増悪生存期間中央値は5.2月と報告されている。
- 再発・難治性DLBCL患者を対象にポラツズマブ ベドチンベースのサルベージ療法とその他のサルベージ療法を後ろ向きに比較した研究3)では、全奏効率はそれぞれ62.8%、33.3%であり、無増悪生存期間、全生存期間もポラツズマブ ベドチンベースのほうが良好であったことが報告されている。
- Sehn LH, et al.: J Clin Oncol. 2020; 38(2): 155-65.
- Terui Y, et al.: Cancer Sci. 2021; 112(7): 2845-54.
- Rattanathammethee T, et al.: Ann Hematol. 2023; 102(7): 1887-95.
副作用の特徴
- ベンダムスチンは2日間投与になっている。複数日に投与するレジメンの場合は、推奨される制吐療法は決まっておらず、投与経路、薬物動態の特性(特に5HT3RA)などを考慮し,適切な制吐療法を組む必要がある。
- ポラツズマブ ベドチンおよびリツキシマブのinfusion reaction予防のため、投与開始30分~1時間前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等の前投与を行う。
- 本レジメンの主たる副作用は骨髄抑制(好中球減少、リンパ球減少)である。ベンダムスチンによるリンパ球減少は高頻度で発現し、治療終了後も遷延することがあるため、リンパ球減少を伴うニューモシスチス感染症等には特に注意すべきであり、十分な感染予防策を講じる必要がある。
- ベンダムスチンが主因である発疹がみられ、痒みを伴うことがある。QOL低下の要因となるため、我慢させずに適切な対応を行う。
- ポラツズマブ ベドチンの末梢神経障害は、QOLを低下させるため、適切に重症度を判定し、減量・投与中止などの措置を行う。
- B型肝炎ウイルス再活性化の予防のため、治療開始前にB型肝炎ウイルス感染のスクリーニングおよび適切な予防措置を行う。
- 腫瘍崩壊症候群の予防のため、治療開始前にリスク評価と適切な予防措置を行う。
- 海外第Ib/Ⅱ相試験と国内第Ⅱ相試験における脱毛症の発現率は0.8%であり、脱毛の発現頻度は少ない。

