監修のことば

いつでも、どこでも、誰でも、気軽に。
心と身体の健康をサポートする『ウェルケア体操プログラム』

 現在、精神科医療においては、入院を主とする医療から地域中心で取り組む医療への移行期にあるなか、患者さんを支える新たな手法として、身体機能の維持・向上の取り組みが注目されています。入院中も身体機能が低下しないように、医療関係者が寄り添いながら患者さんの基礎的な体力を育み、また、退院後の地域生活を支えるために、患者さん自身が健康づくりを習慣化できるよう、共に歩んでいくことが、ますます大切になってきます。しかし、体力・気力が低下している患者さんに、適切な運動指導をするために手軽に利用できるツールがなく、それぞれの病院や施設でどのように対処していくのかが、大きな課題でした。

 そこで、統合失調症をはじめとする精神疾患の患者さんのライフスタイルの課題、運動による気分改善や社会性向上を目的に、『ウェルケア体操プログラム』を作成しました。プログラムの動画をいつでも好きなときにインターネットで利用でき、さらには身体全体だけでなく、口腔、筋力アップといった身体の部位ごとに、患者さんの体力に応じたプログラムを紹介しています。

 精神疾患の患者さんは外へ出る機会が少なく、運動不足になりがちなことに加え、ご自身やご家族も身体的な健康への興味や関心が低い傾向にあります。最近の研究では、適度な運動は、身体面の問題を改善すると同時に、精神面にも良い影響を与えることが示唆されています。この『ウェルケア体操プログラム』は、患者さんやご家族の方だけでなく、一般の方にも取り組んで頂けるプログラムになっております。利用者の皆様が“身体を動かすことの楽しみ”を知り、心身ともに快方に向かう一助になれば幸いです。

内田 直 先生

日本スポーツ精神医学会 理事長
内田 直 先生

ページ先頭へ