TOWA Mini Clinic Series 監修 心不全について 奈良県立医科大学 循環器内科学教室 教授 斎藤 能彦 先生 2022年2月作成

  • 心不全とは?
  • 守ってほしい
    10ポイント
  • 心不全とは?

    心不全は、心臓の働きが悪くなり、息切れなどの症状が出る病気です。

    私たちの体を流れる血液は、酸素や栄養を運ぶ働きがあります。
    心臓は、その大事な血液を全身に送り出す重要なポンプの役割を果たしています。
    心不全とは、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です」と定義されています1)2)
    心臓のポンプ機能が弱まることによって、血流低下や血液が滞る「うっ血」の状態を引き起こし、疲れやすい、呼吸困難、両下肢のむくみという症状があらわれます。

    徐々に進行する病気のため、服薬と日常の健康管理がとても重要です。

    狭心症、心筋梗塞、高血圧、糖尿病、動脈硬化などは、心不全を引き起こす原因となります。肥満も大きなリスクです。
    心不全は進行性の病気であることから、悪化を予防するためには、お薬を決められた通り毎日きちんと飲むことが重要です。
    同時に、患者さん自身による日々の健康管理もとても重要です。
    日常生活における注意事項の理解を深めていただくことを目的に、「守っていただきたい10 のポイント」をまとめました。ぜひご活用ください。

    心不全の経過
  • Point

    朝起きて、トイレのあとは体重測定

    体重の増加は、心臓の状態を知らせる重要なサインになります。
    悪化の兆しを見逃さないために、毎日測って記録するようにしましょう。

    血圧・脈拍も毎日測って記録しよう

    高血圧は、心不全を引き起こす主な原因のひとつです。
    血圧・脈拍を毎日測定・記録し、状態を把握しましょう。

    酸味、だし、香辛料、香味野菜で減塩工夫

    塩分の摂りすぎは高血圧・むくみの原因となり、心臓に負担をかけます。
    塩分控えめの味に慣れていきましょう。

    飲み忘れ注意!お薬カレンダー確認を日課に

    お薬は服薬回数・服薬量を守って確実に飲みましょう。
    自己判断で中止したり量を減らしたりすると、症状が悪化することがあります。

    手洗い・うがい・マスク・ワクチンで感染予防

    新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなどにかかると、心不全が悪化する可能性があります。
    基本的な感染予防を心がけましょう。

    運動は息切れしない程度に、無理なく楽しく

    適度な運動は筋力を強くし、心臓の負担を減らす効果があります。
    自分に適した運動量を医師に相談しましょう。

    湯船には10 分以内、お湯の温度は40~41度

    適度な入浴は血行をよくし、心臓の負担を軽くします。
    ただし熱いお湯は血圧を上げるので逆効果。十分注意しましょう。

    旅行前、計画の前に医師に相談

    長時間移動の旅行などは、心不全の悪化を招く可能性があります。
    事前に医師に相談し、安心して出かけられるようにしましょう。

    かかりつけ医・かかりつけ薬剤師を持ちましょう

    かかりつけの医師・薬剤師は、患者さんの生活背景を把握した上で適切な診療や指導を行います。
    気になることがあれば気軽に相談しましょう。

    地域で連携して患者さんをサポート

    心不全の症状、必要な治療・ケアは、患者さんの状態や時期によって変化するため、多職種連携が不可欠です。地域連携の「心不全チーム」が協力し患者さんを支えます。
    医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなどの多職種が連携

    こんなときは、すぐ受診

    このような症状があるときは危険な状態です。
    ためらわず、すぐに受診しましょう。

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