TOWA Mini Clinic Series 骨粗鬆症について 監修 山陰労災病院 院長 萩野 浩 先生 2026年4月改訂

  • どんな病気?
  • どんな治療?
  • どんな食生活?
  • どんな運動?
  • どんな薬?
  • どんな病気?

    加齢などにより骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。

    骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気が骨粗鬆症です。骨はたえず古くなった骨を壊す働き(骨吸収)と、血液中のカルシウムなどを使って新しい骨をつくる働き( 骨形成)を繰り返しています(これを骨代謝といいます)。骨粗鬆症では、骨代謝のバランスがくずれ、骨吸収に骨形成が追いつかない状態になっています。
    骨の代謝

    背骨の圧迫骨折と太股の付け根の骨折が要注意です。

    骨粗鬆症になっても、ほとんど症状は現れず、骨折してから気がつくことが少なくありません。背中や腰が痛んだり、曲がったりする骨粗鬆症の代表的な症状は、椎体の圧迫骨折によるものです。身長が2cm以上縮んでいる場合は、一度検査を受けましょう。

    とくに骨折しやすい部分は、背中や腰の骨(椎体)、太股の付け根(大腿骨近位部)、手首、上腕の骨などです

    とくに骨折しやすい部分
    骨粗鬆症の主な症状

    骨折リスク評価ツール(FRAX®)

    骨折リスク評価ツールとして世界保健機関(WHO)が開発した「FRAX®」が、webで公開されています。年齢、性別、喫煙などの12の質問項目に回答すれば、今後10年間の骨折発生確率が自動的に算出されます。
  • どんな治療?

    骨折を予防して、QOL(生活の質)を維持するのが目的です。

    介護が必要となった原因のうち、骨折・転倒は上位を占めています。太股の付け根の骨折や背骨の圧迫骨折の出現・悪化は、寝たきり状態の要因となります。骨粗鬆症の治療の目的は、このような骨折を予防し、移動機能を維持することで、長く健康的な日常生活を継続することです。

    栄養療法・運動療法・薬物治療が治療の三本柱。

    食事・運動を中心とした日常生活の改善と、骨密度を効果的に高める薬物治療が、骨粗鬆症の治療の基本です。どちらも地道に根気よく継続することで、骨折を回避し、健康的な生活を維持することができます。薬物治療は、骨折の危険性(骨密度、生活習慣、家族歴など)をもとに、治療開始の基準が定められています。

    ロコモティブ・シンドロームと骨粗鬆症

    骨、関節、筋肉など運動器の障害による日常的な移動機能の低下した状態を、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群;ロコモ)と呼びます。骨粗鬆症は変形性関節症、変形性脊椎症とともに、ロコモの主要な原因疾患です。健康寿命を長く保てるように、ロコモの予防や治療に早期から取り組むことが重要です。

    骨粗鬆症の指標:骨密度と骨代謝マーカー

    骨密度(BMD:Bone Mineral Density) 骨の面積あたりの骨量(単位:g/cm²)のことで、カルシウムやリンなどのミネラルが骨にどれくらい含まれているかを示す指標です。

    骨代謝マーカー 血中や尿中にある骨吸収や骨形成に関わる物質の量を調べることにより、骨代謝の状態を知る指標です。

  • どんな食生活?

    カルシウムとビタミンDに配慮してバランスの取れた食事を。

    食事は健全な骨格を維持するための栄養素を摂取する基本です。まずは3食規則正しく、バランスの取れた食生活を送ることが大切です。骨の主成分はカルシウム、リンとたんぱく質です。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し骨密度を維持する働きを持ちます。いずれも摂取量は一般に不足しがちなので、意識してカルシウムやビタミンDを多く含む食品を食べるようにしましょう。さらに、骨形成を助けるビタミンKを多く含む食品も食べるように心がけましょう。

    ビタミンDを多く含む食品
    ビタミンKを多く含む食品

    カルシウムとビタミンDの1日あたりの摂取量

    50歳以上のカルシウムの摂取推奨量※1は、1日あたり男性で750mg、女性で650mg(75歳以上は600mg)です。骨粗鬆症では、これより少し多めの700~800mgを摂取目標※2とします。ビタミンD の1日あたりの推奨摂取量※1は、5 0歳以上の男性、女性ともに9μgです。骨粗鬆症では15~20μg/日を摂取目標※2とします。
    ※1 厚生労働省: 日本人の食事摂取基準2025年版より
    ※2 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版

    カルシウムを多く含む食品と
    含有量の目安

    インスタント食品や炭酸飲料などのリンを多く含む食品、カフェイン、アルコール、食塩はカルシウムの吸収を妨げる働きがあるため、多くとりすぎないように心がけましょう。

  • どんな運動?

    骨に適度の負担をかけて、骨量の減少を防ぎます。

    毎日の適度な運動は骨を強化するとともに、筋肉やバランス感覚も鍛えて転倒防止にもつながります。ウォーキングや柔軟体操などの軽い有酸素運動を習慣化しましょう。家事で体を動かす、なるべく階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活で運動量を増やす工夫も大切です。

    骨を強化するための簡単な
    運動

    天候などに左右されず、家庭で毎日できる簡単な運動を紹介します。自分の体調や体力に合わせて、無理のない範囲で行いましょう。
  • どんな薬?

    骨密度を効果的に高め、骨折の危険性を軽減します。

    骨粗鬆症の薬には、骨を壊す骨吸収を抑制する薬(骨吸収抑制薬)、骨をつくる骨形成を促進する薬(骨形成促進薬)、その他の薬(カルシウム薬やビタミン薬)があります。それぞれが骨を強くする異なる機能をもっているので、年齢や症状に応じて患者さんに適した薬が処方されます。

    骨粗鬆症の主要な薬

    効果が実感できなくても、根気よく継続しましょう。

    薬物治療にあたっては医師や薬剤師の指示を守り、また疑問点や心配があればこまめに相談するようにしましょう。骨粗鬆症の薬は時間をかけて効果が現れるので、自己判断でやめることなく、根気よく続けることが大切です。

    日常生活で転倒を避けるための対策

    転倒は家のなかで起こることが多く、転倒をしないように生活環境を整えることが大切です。
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