TOWA Mini Clinic Series 骨粗鬆症について 監修 川崎医科大学 学長 福永 仁夫 先生 2018年11月改訂

  • どんな病気?
  • どんな治療?
  • どんな食生活?
  • どんな運動?
  • どんな薬?
  • どんな病気?

    加齢などにより骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。

    体の他の部分と同様に、骨も年齢を重ねるとともに弱くなります。骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気が骨粗鬆症です。骨の内部があらく(粗)、す(鬆)の入ったような状態になることから、この病名があります。骨はたえず古くなった骨を壊す働き(骨吸収)と、新しい骨をつくる働き(骨形成)を繰り返しています(これを骨代謝といいます)。骨粗鬆症では、骨吸収に骨形成が追いつかない状態になっています。閉経後の女性ホルモン減少が発症の一因となっているため、中高年の女性にとくに多い病気です。
    骨の代謝

    背骨の圧迫骨折と太股の付け根の骨折が要注意です。

    骨粗鬆症になっても、ほとんど症状は現れず、骨折してから気がつくことが少なくありません。とくに骨折しやすい部分が、背中や腰の骨(椎体)、太股の付け根(大腿骨近位部)、手首、上腕の骨です。背中や腰が痛んだり、曲がったりという骨粗鬆症の代表的な症状は、椎体の圧迫骨折によるものです。身長が2cm以上縮んでいれば、一度検査を受けてみましょう。

    とくに骨折しやすい部分
    骨粗鬆症の主な症状

    骨折リスク評価ツール(FRAX®)

    骨折リスク評価ツールとして世界保健機関(WHO)が開発した「FRAX®」が、webで公開されています。年齢、性別、喫煙などの12の質問項目に回答すれば、今後10年間の骨折発生確率が自動的に算出されます。
  • どんな治療?

    骨折を予防して、QOL(生活の質)を維持するのが目的です。

    介護が必要となった原因のうち、骨折・転倒は上位を占めています。太股の付け根の骨折や背骨の圧迫骨折の出現・悪化は、寝たきり状態の要因となります。骨粗鬆症の治療の目的は、このような骨折を予防し、移動機能を維持することで、長く健康的な日常生活を継続することです。

    食事療法・運動療法・薬物治療が治療の三本柱。

    食事・運動を中心とした日常生活の改善と、骨密度を効果的に高めたり、骨折を予防する薬物治療が、骨粗鬆症の治療の基本です。どちらも地道に根気よく継続することで、骨折を回避し、健康的な生活を維持することができます。薬物治療は、骨折の危険性(骨密度、生活習慣、家族歴など)をもとに、治療開始の基準が定められています。

    ロコモティブ・シンドロームと骨粗鬆症

    骨、関節、筋肉など運動器の障害による日常的な移動機能の低下した状態を、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群;ロコモ)と呼びます。骨粗鬆症は変形性関節症、変形性脊椎症とともに、ロコモの主要な原因疾患です。健康寿命を長く保てるように、ロコモの予防や治療に早期から取り組むことが重要です。

    骨粗鬆症の指標:骨密度と骨代謝マーカー

    骨密度(BMD:Bone Mineral Density)とは、骨の面積あたりの骨量(単位:g/cm²)のことで、主にX線で測定します。カルシウムやリンなどのミネラル(骨塩)が骨にどれくらい含まれているかを示す指標で、骨粗鬆症の診断や治療効果の評価に利用されます。骨代謝マーカーは、血中や尿中の骨吸収・骨形成に関わる物質の量を調べることで、骨代謝の状態を知る指標です。
  • どんな食生活?

    カルシウムに配慮してバランスの取れた食事を。

    食事は健全な骨格を維持するための栄養素を供給する基本です。まずは3食規則正しく、バランスの取れた食生活を送ることが大切です。骨の主成分はカルシウム、リンとたんぱく質です。カルシウムの摂取量は一般に不足しがちなので、意識してカルシウムを多く含む食品を食べるようにしましょう。さらに、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、ビタミンKを多く含む食品も食べるように心がけましょう。

    ビタミンDを多く含む食品
    ビタミンKを多く含む食品

    【カルシウムの1日あたりの摂取量】

    50歳以上のカルシウムの摂取推奨量は、1日あたり男性で700mg、女性で650mgです。骨粗鬆症では、これより少し多めの700~800mgを摂取目標とします。
    ※厚生労働省:日本人の食事摂取基準2015年版より

    カルシウムを多く含む食品と
    含有量の目安

    過剰にとるのを避けた方がよい食品など

    カルシウムの吸収を妨げる働きがあるので、多くとりすぎないよう注意が必要です。
  • どんな運動?

    骨に適度の負荷をかけて、骨量の減少を防ぎます。

    毎日の適度な運動は骨を強化するとともに、筋肉やバランス感覚も鍛えて転倒防止にもつながります。ウォーキングや柔軟体操などの軽い有酸素運動を習慣化しましょう。家事で体を動かす、なるべく階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活で運動量を増やす工夫も大切です。

    骨を強化するための簡単な
    運動

    天候などに左右されず、家庭で毎日できる簡単な運動を紹介します。自分の体調や体力に合わせて、無理のない範囲で行いましょう。
  • どんな薬?

    骨密度を効果的に高め、骨折の危険性を軽減します。

    骨粗鬆症の薬には、骨を壊す骨吸収を抑制する薬(骨吸収抑制薬)、骨をつくる骨形成を促進する薬(骨形成促進薬)、カルシウム薬やビタミン薬などその他の薬があります。それぞれが骨を強くする異なる機能をもっているので、年齢や症状に応じて患者さんに適した薬が処方されます。

    骨粗鬆症の主要な薬

    効果が実感できなくても、根気よく継続しましょう。

    薬物治療にあたっては医師や薬剤師の指示を守り、また疑問点や心配があればこまめに相談するようにしましょう。骨粗鬆症の薬は時間をかけて効果が現れるので、自己判断でやめることなく、根気よく続けることが大切です。

    日常生活で転倒を避けるための対策

    転倒は家のなかで起こることが多く、転倒をしないように生活環境を整えることが大切です。
ページ先頭へ