- どんな病気?
- どんな治療?
- どんな薬?
- どんなライフスタイル?
-
どんな病気?
脳のドパミンが減少して、運動の指令が伝わりにくくなる病気です。
体を動かそうとすると、脳から筋肉に運動の指令が伝わります。うまく動くように、運動の調節を伝えているのがドパミンです。パーキンソン病は、このドパミンが減少することで運動の指令がうまく伝わらなくなり、ふるえなど運動症状があらわれる病気です。
ドパミンは、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞でつくられます。パーキンソン病の患者さんでは、このドパミン神経細胞が減少し、ドパミンが不足していきます。手足のふるえなど、4つの特徴的な運動症状があります。
主な運動症状は、図に示す4つです。症状は体の左右どちらかに始まり、進行すると両方にみられるようになります。
便秘、不安、睡眠障害などの非運動症状があらわれることもあります。
-
どんな治療?
症状のコントロールと生活の質の維持をめざします。
パーキンソン病は、薬物療法で症状をコントロールし、自立した生活を長く続けることが可能な病気です。症状の進行を抑え、生活の質を維持するために、早期からの薬物療法が推奨されています。しっかり治療を続けることが大切です。
自己判断で服薬を中断・中止・減量・増量しないようにしましょう。
治療薬は、患者さんそれぞれの症状に合わせて処方されます(「どんな薬?」 参照)。決められた回数・服薬量を守って確実に服用し、治療を継続することが大切です。 本人やご家族の判断で、服薬を中断・中止したり、減量・増量しないようにしましょう。気になる症状があれば、医師・薬剤師に相談しましょう。基本は薬物療法とリハビリテーションです。
薬物療法とリハビリテーションが治療の両輪です。両方を行うことで、より高い治療効果が期待できます。
日常生活のなかで積極的に体を動かすことがリハビリテーションにつながります。医師と相談のうえ、症状に合ったリハビリテーションを生活に取り入れていきましょう。 -
どんな薬?
さまざまな薬があり、年齢や症状に合わせて処方されます。
パーキンソン病の治療に使われる薬は、ドパミンを補う薬をはじめ、さまざまな薬があります。患者さんの年齢や症状によって使い分け、複数の薬を組み合わせることがあります。
病気が進行すると、運動合併症があらわれることがあります。
L-ドパ含有製剤を何年か服用すると、病気の進行とともに治療域がせまくなり、以下のような運動合併症があらわれることがあります。これらは、薬の調整やデバイス補助治療などで改善できますので、気になる症状があらわれたら医師に相談しましょう。
デバイス補助治療(DAT)は、運動合併症の新たな治療選択肢です。
DAT:Device Aided Therapyとは、デバイス(機械)を用いて、症状のコントロールを補助する治療です。
脳深部刺激療法(DBS)とL-ドパ持続経腸療法(LCIG)、L-ドパ含有製剤持続皮下注療法があり、専門医と連携して進めます。 -
どんなライフスタイル?
毎日できる範囲で体を動かすことを心がけましょう。
日常生活のなかで、なるべく体を動かすことがリハビリテーションになります。できる範囲で継続することが大切です。運動はリフレッシュにもなります。頻度や強度は、医師に相談しましょう。
日常生活の場面で動きやすくなる工夫を取り入れましょう。
日常生活の動作や日用品などを少し工夫することで、安全で快適な生活を維持することが可能です。
規則正しい生活を送りましょう。
睡眠障害はよくみられる症状の一つです。まず大切なのは規則正しい生活を送ることです。日中はなるべく体を動かし、食事や睡眠などの生活のリズムを整えましょう。
睡眠障害は、日中の活動に影響することもあります。睡眠で困ることがあれば、早めに医師に相談しましょう。毎日の生活を楽しみましょう
パーキンソン病は、治療により症状をコントロールし、生活の質を維持することが可能な病気です。
治療に前向きに取り組み、積極的に体を動かして、自分らしい生活を楽しみましょう。公的支援制度について
パーキンソン病の療養環境改善を目的としたさまざまな公的支援制度があります。支援の内容は、重症度などによって異なりますので、最寄りの保健所・福祉窓口に相談してみましょう。安全で動きやすい環境をつくりましょう。
パーキンソン病の患者さんにとっては、ちょっとした段差も動きづらさにつながり、転倒のリスクを高めます。家全体の安全を改めてチェックしましょう。
ご家族の方へ
病気の影響などから、患者さんは体を動かすことが億劫になり、その結果、症状が進行するという悪循環になることがあります。
患者さんが治療に前向きに取り組み、より快適な自分らしい生活を楽しめるよう、ご家族でサポートしましょう。
薬の飲み忘れがないかなど、普段の様子を見守り、心配なことがあれば医師に相談しましょう。