「東和品質」スペシャル対談

羽生結弦 プロフィギュアスケーター

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吉田逸郎 東和薬品 代表取締役社長

東和薬品
山形工場

#01

基本を大切にする

第1回のテーマは、「基本」について。工場見学を終えたばかりの羽生さんが、お薬づくりの「基本」から感じたこととは?

羽生

どうぞよろしくお願いします。

吉田

よろしくお願いします。

羽生

(工場を案内していただいたことについて)まずは、ありがとうございます。

吉田

こちらこそ、ありがとうございます。私たち東和薬品が考えるお薬の基本というのは、患者さんが安心して、信頼して飲んでいただけるお薬づくり、ということです。そのもとになるのが「製造管理」と「品質管理」。これをしっかりと行うのが基本です。このような基本という部分でいいますと、羽生さんのスケートでは、どのようなところにありますか。

羽生

スケートを見ていて「ちゃんとスケートをしているかどうか」というところは、やはり基本中の基本ですね。止まってばかりではダメですし。とはいえ、止まることも、かなり難しい技術ではあるのですが。どれだけ美しく滑っていられるか、どれだけなめらかに、そして軽やかに滑っていられるかというのは、自分の中で大切にしている基本です。

吉田

なるほど。

羽生

工場を見学しながら社長とお話をさせていただいている間に、昔はどのようにお薬を作っていたのだろう?という疑問が湧いてきました。今は工場内の無人化が進んでいて、品質を保つために、あえて人ではなく機械が行う工程があって、とても最先端なことを行っていらっしゃるので。

そもそも、この工場で働いている方々の安全性を確保するために、という意味でも無人化が進んでいるそうですけども、昔は本当に大変だったんだろうなと。この時代だからこそできるお薬づくりがあるんだ、ということをあらためて感じています。

医薬品包装ライン
吉田

私が社長に就いて27年が経つのですが、今と比べると、製造現場は全く違いますね。27年前はこの山形工場もありませんでした。別の場所に工場があって製造していたのですが、その頃の製造現場は、“人海戦術”で行っていたことがたくさんありましたね。

先ほど、アンプル製剤の製造現場を見ていただきましたが、アンプルの検査というものは、すべて人の目で行なっていました。検査を終えて次の工程へと運ぶ時も、人の手でしたね。製造管理や品質管理も人が行っていましたが、それをだんだんと機械化、自動化して、さらにロボットも導入することでミスが起こらないような仕組みに変遷していきました。

それでもまだ、製造現場では人の介在するところがあります。羽生さんがおっしゃったように、作業環境も働く人の安全を考えて進化させ、安全確保のための設備や防御策などもどんどん進化していく。製造業の進化とともに、人の働く環境も進化し、そして現在がある、ということですね。医薬品は、健康な人が吸い込むと副作用で健康を害するというところがありますので。

無菌製造エリア
羽生

例えば、抗がん剤に代表されるような高活性製剤(高薬理活性製剤)ですね。

吉田

特にそうですね。そういうお薬の製造も近年増えてきましたので、製造設備を別にして、安全な環境で働けるように変化しています。

羽生

そもそもお薬を作るとき、お薬を飲む方々に安心して飲んでいただけるようにするのはもちろんのことですが、この工場で働いている方々も安心して安全に働ける環境にする。そこに関しては、この工場を見学させていただく前までは考えたこともありませんでした。

確かに、ロボットがお薬の製造に関わっているということに対しては少し不安を感じる方もいらっしゃると思います。でも、ロボットや機械を使っているからこそ、この工場で働く方々も安心で、安全が守られていくという好循環があることを感じました。

吉田

お話しいただいたように、機械が製造していることについて、ちょっと不安を感じる部分があるというのは分かります。先ほど工場でご覧いただいたように、お薬の製造には、秤量(ひょうりょう)、造粒(ぞうりゅう)、打錠(だじょう)など様々な工程があり、それぞれの工程において、その製品に必要な品質の基準が定められています。

この品質の基準の確認は、データの捏造やミスが発生しないように、データ分析は機械が行います。その分析結果と人の判断を統合して「大丈夫か」「安全か」判断し、次の工程へと進む。つまり、データの正確性や信頼性を担保するために機械やロボットの活用と、二重チェック機能として人が最終判断をして製品の品質管理をおこなっています。

羽生

つまり、昔から製法の基本は変わってはいないけれど、いわゆるデータ分析力を必要とする仕事はロボットが管理し、そのデータ自体を管理するのは人間ということですね。

吉田

万が一、機械が故障したときには人の手で適切に直して、そこから再スタートする際も、これで問題がないか?というデータの確認も、やはり人が行います。だから、これまでとは人の仕事の種類も変わってきていますね。これから、もっともっと変化していくのだと思います。

羽生

そうかもしれないですね。やはりそこには、人間がチェックしているからこそ生まれる“安心”というものが担保されているわけなんですね。

中間製品自動倉庫
吉田

そうですね。具体的に製造方法や品質管理をどのように行うべきか、品質や安全性をどう確保していくかは、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)という厚生労働省の省令できちんと定められたものがありますので、それに従います。

お薬づくりの基本であるGMPの遵守に加えて、製造するすべての製品の品質や安全性に徹底的に向き合うために、機械やロボット、今後はAIの活用など、そのような働き方に、どんどんとシフトしてきているということです。

(第2回につづく)

  1. #01基本を大切にする

  2. #02高みを目指し、
    挑戦していく

  3. #03大事にしたいこと、
    共通していること

  4. #04考えていること、
    伝えたい想い

  5. #05将来の夢、ビジョン

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羽生結弦

羽生結弦プロフィール

宮城県仙台市出身。2014年ソチ五輪に出場、フィギュアスケート男子シングル日本初の金メダルを獲得。2018年平昌オリンピックでも金メダル獲得し、オリンピック2連覇という偉業を成し遂げる。2022年、プロ転向を表明。現在プロフィギュアスケーターとして、アイスショーの企画やプロデュース、出演まで、その活躍の幅を広げている。

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