羽生結弦 プロフィギュアスケーター
吉田逸郎 東和薬品 代表取締役社長
東和薬品
山形工場
#05
話は盛り上がり、話題は、この先の夢やビジョンに関することへと移っていきます。ますます活動の幅を広げていく羽生さんのこれからのビジョンとは?これからの東和薬品とは?
僕は、自分が今やっているフィギュアスケートというものを、フィギュアスケートという枠だけじゃなくて、「羽生結弦」という新しい形としての表現や、芸術みたいなものにどんどんしていきたいなと思っています。
今は映像化の技術が向上していますし、紙媒体やテープといった劣化が激しいものからインターネットになり、ディスク媒体もどんどん改良されていて、鮮明な映像を残しやすくなっています。将来的には、もしかしたら色彩だけではなくて、もっと3Dに見えたり、その空気感を味わえるたりするような装置も開発されていくかもしれない。
そういうことを考えていくと、僕がこれから作っていきたいなと思っている演技だったり、また表現だったり、いろいろなものたちが後世に残っていってくれて、最終的に未来のいろいろな人たちが、「羽生結弦」という人間の演技を見た時に、「すごく面白い人がいたんだな」って感じてもらいたい。いつか、50年後とか、それこそ100年後とかでもいいので、思ってもらえたら嬉しいなと、最近は強く思っています。
東和薬品さんとしては、どのような計画や、どのような理念で進んでいきたいなとお考えですか。
2021年に創業70周年を迎え、これからの東和薬品を考えるにあたって、将来の東和薬品のあるべき姿をはっきりさせていこうと、現在、取り組んでいるところです。最終的な目的は、会社の理念にも通じることですが、人々の「こころの笑顔」のためです。当社でいう「こころの笑顔」とは、心の底から湧き出るような本当の笑顔と定義していて、これを実現するために東和薬品として事業を展開していくということです。
これまでは病気になったときお薬で健康になってもらうことで貢献してきました。そして、これからは、健康そうに見えても病気になる一歩手前の人、これを「未病(みびょう)」の状態といいますが、それ以上悪化しないよう何か提供できないかと考えています。
たとえば、予防医学という考え方があって、未病の状態での健康状態をはっきりとデータ化し、そのデータを使って、これ以上悪化しないようにする。これは、今後の医療のあり方にも関わるのですが、個人の健康を管理するという役割でかかりつけ医という先生がいらして、東和薬品としてそういうところにも関わっていきたいですね。
それともうひとつ。健康な人がその健康を維持するためにどのようなことをすればいいのかを提供していきたい。健康な人の健康維持、健康で長生きしようという「健康寿命の延伸」です。お薬はお薬で、これまでお話したような製品づくりというのはしっかりとやりたい。
その上で、それ以外のところにも展開していきたいです。全ては何のために取り組むのかというと、人々の「こころの笑顔」を実現するため。東和薬品として、何をやるのかというところを考える。そういった事業展開をしていきたいですね。
僕も、多くのみなさんの「こころの笑顔」のためにできることを頑張りたいなって思いました。
お互いに、同じような想いでこれからがんばっていきたいですね。
(おわり)
宮城県仙台市出身。2014年ソチ五輪に出場、フィギュアスケート男子シングル日本初の金メダルを獲得。2018年平昌オリンピックでも金メダル獲得し、オリンピック2連覇という偉業を成し遂げる。2022年、プロ転向を表明。現在プロフィギュアスケーターとして、アイスショーの企画やプロデュース、出演まで、その活躍の幅を広げている。