モンゴルの人々に「こころの笑顔」を地域産業創出への挑戦「百年計画」
当社グループの根本的な考え方、あるべき姿の基本は「私達はこころの笑顔を大切にします」という当社グループの企業理念に基づきます。「こころの笑顔」とは、身体が健やかで、こころが満ち足りた状態でいられることにより、心底(しんそこ)から湧き上がるよろこびが笑顔としてあふれてくる様(さま)を表します。あるべき姿は「いつの時代でも、どの地域でも、その地域に住んでいる人々に必要とされ、必要とされる製品・サービスを提供する会社であり続ける」ことです。
その理念をグループとして体現するシンボリックな取り組みとして、「東和薬品グループ百年計画」があります。そのひとつとして「モンゴルでの甘草(かんぞう)栽培」への挑戦を2014年より始動しています。モンゴルでは有限である地下資源の採掘による国土の砂漠化やそれによる気候変動が大きな課題となっていますが、それが国の経済を支える重要な産業でもあります。
そこで、当社はモンゴルに自生し、食品、化粧品だけでなく医薬品の原料としても使用視される「甘草(かんぞう)」に着目しました。計画的に甘草を栽培し、収穫物を販売し、その種で新たに甘草を栽培するという無限の緑の資源を活用することができれば、持続可能な開発としてひとつの産業が発展し、モンゴルの人々の暮らしを向上させ、「こころの笑顔」を増やすことにつながるのではないかと考えました。また、甘草栽培によるCO2削減や土地の砂漠化抑制、黄砂の大気拡散抑制にも貢献できると考えています。
モンゴルでの栽培地の様子
甘草の育成状況(2024年8月)
牧草栽培(圃場以外の活用)
2014年から現地の状況把握をスタートさせ、2017年にモンゴル東部のヘンティー県ヘルレン郡に約1,000ヘクタールの土地を確保しました。コロナ禍に取り組みが停滞したものの、2021年9月には甘草の苗600個を試験的に植え付け、2023年にはヘルレン郡長からの賛同も得て、契約を締結した100人の地域住民の皆さんに、試験栽培として甘草の育苗や栽培に積極的に参加いただき、地域と一緒になって活動を進めています。この取り組みは地域住民の方からも大変ご好評をいただいている状況です。現在は苗を土地の一部に移植し、発芽や生育の状況を観測しています。甘草は施肥から収穫までが約7年周期と長く、広大な土地での栽培も一筋縄ではいかないため、段階的に栽培面積を拡大し収穫できるように計画しています。現在空いている土地には、モンゴルの厳冬に備えた家畜の餌にするための牧草を植えるなど、広大な土地を有効に活用しています。
今後のマイルストーンとしては、2026年に本格的な栽培をスタートさせ、当社の創業80周年の2031年には甘草販売の開始、同100周年の2051年に濃縮エキスを加工する工場の稼働開始を目指しています。この事業がモンゴル国内で自立経営できるよう注力し、将来的に原薬への加工や輸出といった事業領域の拡大につながれば、地域社会や地域経済の活性化として大きな意義を持つ取り組みになると期待しています。グループ全社が、人々のこころの笑顔のために、地域や時代を超えて、人々に必要とされる製品・サービスを提供する会社であり続けるための象徴として、この事業を続けていきたいと考えています。
当社グループは多彩な健康関連事業を通じて人々の「こころの笑顔」をかなえられるよう、これからも日本および世界中に展開していくことに努めてまいります。引き続き皆さまのご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。