「東和品質」を追求し続けることで
社会の課題解決に貢献します
イノベーション創出で「東和品質」
を世界に示す
生産や品質面で新たなシナジー効果を発揮するのが、グループ化5年目を迎えたTowa PharmaInternational Holdings, S.L.傘下のTowa Pharmaceutical Europe, S.L.です。スペインにある同社のマルトレージャス工場は欧州医薬品庁(EMA)や米国食品医薬品局(FDA)の基準に準拠しており、品質面において優れた生産技術を有するのが強みです。2024年2月には新たに日本国内向けに製造することの認定を受け、日本で販売するエソメプラゾールカプセル10mg/20mg「トーワ」の製造を開始し、日本の安定供給にも貢献しています。同工場は製造効率を高める製造機器設備などを活かすさまざまなノウハウを有し、東和薬品は欧州にはない製剤への付加価値というノウハウがあります。こうした生産技術や研究開発をはじめとして各部門を交流させながら海外医薬品事業を加速させ、グローバル化を深化させていく予定です。
海外医薬品事業では現在、欧州や米国など世界30カ国以上で300製品以上のジェネリック医薬品を提供していますが、世界で存在感を示すには「製品総合力No.1の製品づくり」を目指す「東和品質」の追求がカギを握ると考えています。水なしでも口の中で溶けて飲みやすいOD錠(口腔内崩壊錠)や、苦みをマスキングする技術、医療従事者の皆さまが判別しやすい薬剤印字等があります。当社グループの付加価値製剤技術の代表的なものとして「RACTAB(ラクタブ)」技術が挙げられますが、これは服用しやすい崩壊性と、普通の錠剤同様に取り扱える硬さを両立した独自の製剤技術です。患者さんにとって飲みやすく、医療従事者の皆さまにとって区別しやすいなど、世の中に必要とされ、当社グループが持つ最新の技術で改良・改善を重ね続けることで、その時代の最新・最高のものに更新する製品づくりが「東和品質」を支えています。
技術イノベーションと製品価値創出に向けた取り組みとして、「ニトロソアミン問題への挑戦」を掲げています。発がん性が懸念されているニトロソアミン類が医薬品へ混入してしまう問題は、世界の医薬品業界が抱える深刻な課題です。当社の原薬合成を担当する化学者(ケミスト)たちが中心となり、混入リスクを確実に評価できる分析方法として、原薬で評価する「東和アミンアプローチ」を開発しました。2024年12月には、医薬品中のニトロソアミン類の混入を管理する一斉分析法に関する研究成果が、米国化学会学術誌『ACS Omega』に掲載されました。また、2025年8月には、NOxフリー環境下でニトロソ・アトモキセチン混入量を許容限度値以下に低減した研究成果が、米国化学会学術誌『Org.Process Res. Dev.』に掲載されました。現在、製造工程への実装に向けて専門チームを構成して取り組んでおり、「東和品質」を世界に示すことに大いに貢献すると期待しています。
また、イノベーションという観点からジェネリック医薬品の可能性を広げる取り組みにも注力しています。例えば、医薬品の用法および用量の改善に対する取り組みとして、2025年5月に日本初の持続放出性リバスチグミン経⽪吸収型製剤-週2回製剤-「リバルエン®LAパッチ25.92mg/51.84mg」を、当社で初めて新医薬品として製造販売承認を受けた製品として発売しました。貼付剤は服薬状況が可視化されることで、服薬管理を行う介護者等の負担軽減が期待されております。既存薬では1日1回の貼付が必要になっており、当社製剤が週2回の貼付となることで、持続的な認知症ケアの実現および患者さんやご家族、介護に関わる人々に、より良い生活の質を提供することに貢献できると期待しています。
さらには、ドラッグリポジショニングにも取り組んでおります。ドラッグリポジショニングとは既存の薬剤を転用して新たな疾患の治療薬として開発する方法のことです。既存薬で安全性に関する臨床データが十分に蓄積されているため、そのデータを活用することで従来の新薬開発に比べて研究開発期間やコストを抑えられる可能性があります。当社は2025年6月時点で314成分732品目の製品を有しており、希少疾患などの治療薬開発に向けて、その活用の可能性を研究することは当社の使命だと考えています。2025年6月より、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)らと共に、家族性アルツハイマー病を対象とし、iPS創薬によって見出されたブロモクリプチンの企業治験を開始いたしました。
Towa INTでの記念イベントの様子
社内での技術発表会の様子